『Mineral Art in BOX ~4cmの小箱の世界~』 が出来るまで
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「Mineral Art in BOX」とは?
4㎝四方のルースケースの小箱を絵画の『額』のように見立てて、天然石のルース(裸石)をデザインして配置、納めたオリジナル作品の『ミネラルアート』です
*ルース
天然石の原石を宝石用にカットした裸石のこと
ジュエリー用に枠などにセッティングしていないもの
天然石のルースをそのまま販売するだけでは味気ない、デザイン性を持たせて何か出来ないか?と思ったのが制作のきっかけでした。
ジュエリーなど身に着けるという目的よりは、アートとして、素材として楽しむために制作している商品です。
もちろん、宝石としても使用できるクオリティの天然石を使用しています。
(ケースの中で接着固定していないので、箱を開けて制作に使用することも可能です)
~制作過程~
テーマを決めて、デザイン画を描くことから始まり、石種、色、色目、サイズ、カット、形を選びながら、デザインに合わせて小さな箱の中に石を納めていきます。
アドリブで並べるときもありますが・・・
こちらの作品のメインテーマは『春の花』
人気の「肉球」をモチーフに取り入れました
イメージは、春のお散歩を楽しむ「肉球」たちが、「芝桜の丘」で遊んでいる姿です
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まずはデザインのラフ画を描き、その上にケースの蓋の表を下にして置いて、固定します
ケースサイズは4㎝x4㎝ですが、縁の部分があるので実際は縦横約3.3㎝の中に、デザイン画に合わせてルースを納めていきます
接着固定しないので、ずれないよう慎重に根気のいる作業です
接着剤を使用しないのは、石の輝きが損なわれるから
美しさは最も重要な要素です
途中バランスを見ながらデザインの修正をしたりするのも理由のひとつです
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ひとつひとつ、石のサイズや色目、石と石との間隔を見ながら並べていきます
こちらは、隙間を少なくして、びっしり埋めているデザインパターンです
ルースには裏表があるので、基本は裏を見て作業しています
裏から見るのと表から見るのでは、表情が変わります
あえてデザイン的に裏表逆にする場合もあります
黙々と作業です
「集中、集中・・・」
。
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時々、途中で蓋を閉めて表から確認することも
最も神経を使うのは、蓋を開け閉めするときです
慎重にしないと、少しの振動で石がずれてしまうから
最後まで並べ終えて、確認の時にずれてしまって「悲劇」のことも
溜息しか出ない・・・
ハプニングにもめげず、石を入れ替えたり、位置を変えたりの微調整しつつ
よし!と思えるまでこの繰り返し
ようやく並べ終えました!
さてさて、表はどんなかな?
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表に返した仕上がりです
裏から見たら、全体的に柔らかな色目でしたが、表に返したら、ひとつひとつの色や輪郭がハッキリしています
しかし、ここで終わりじゃない!
箱を振って、中の石が動かないか最終チェック
高さの違う石を組み合わせた場合、低い石が動いてしまう時があるので
中敷きはスポンジとコットンでクッション性があり、蓋を閉めれば密着するのですが、高さが違うと隙間が出来てしまうのです
万が一動いたら調整です・・・
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「肉球シリーズ『芝桜の丘』」の完成
最終チェックをクリアして、自分の中の「OK」が出ました!
この作品は「Premium 」バージョンと称して、ヤギ革でフレーム装飾しました
通常は、封印と装飾を兼ねてカラーやデザインの入ったマスキングテープで仕上げます
*石の種類
肉球 ガーネット
芝桜 アメジストとピンクトルマリン
黄色の花 シトリンとペリドット
青空 アクアマリン
合計144石
*石のサイズ:約2㎜~6㎜
*BOXサイズ:横4㎝x縦4㎝x高1.5㎝
*箱の素材:プラスチック、ウレタンスポンジ、コットン
*箱の装飾素材:ヤギ革
あると便利な道具
1 エアーブロアー:埃をエアーでとばす道具。ケースの埃を取るとき
2 マスキングテープ:デザイン画やケースの固定、埃取り、ケースの封印など
3 両面テープ(粘着力の弱いもの):ケースの固定など
4 トレイ:ルースの仕分け、作業
5 ルースケース:作品を納めるケース。4㎝四方の蓋開閉式
6 虫眼鏡:細かい作業時や仕上がり確認
7 ルーペ:ルースのキズ、カケなどの細かいチェック、仕上がり確認
8 ピンセット:ルースを拾ったり並べる作業
9 ピックアッパー:細かいルースをくっつけて拾う(ネイルグッズ)
10 クロス:ケースやルースの埃や汚れを取る
11 樹脂マット:滑り止め、キズ防止効果
12 方眼紙:デザイン画を描く
13 消しゴム:デザイン画用
14 鉛筆:デザイン画用
15 制作マット:ルースや道具を扱う時の作業など
☆その他、竹串、ネイル用ウッドスティックなどルースを動かしたりすると時などに便利です。金属製のとがったものは、ルースやケースに傷がついてしまう恐れがあるので使用を避けた方が良いです。天然石は指紋も付きやすいので、極力、素手では触らず、道具を駆使してください!
手芸用品を扱うお店や100円ショップなどで購入出来ます。
まずは、自宅にあるもので代用したり、自分が使いやすい道具を見つけて気軽に始めてみてください。
Thank you for your interest!
ここまで、「Mineral Art in BOX」に関心を持ってご覧いただき、ありがとうございました。
サイズ感、繊細さなど、写真では伝わらないことを説明したつもりですが、少しでも「なるほど」と思っていただけたら嬉しいです。
一番伝えたい「美しさ」は、なかなか写真では表現しきれませんが、現物は、立体感や表情もあり、石がキラキラ輝いています。
ジュエリーになるクオリティの素材を使っているからです。
4㎝というサイズ条件があり、ある程度形や色の決まったルースで「画」を描くのは、絵具や鉛筆で繊細に描くようにはいきません。デザインが複雑になるほど表現も難しくなり、当然作業も細かくなり、修正も相応の労力が必要です。
それでも、そんな限られた条件の中で「天然石の魅力が伝わる」ような作品が出来るかをイメージしながらの作業は、ワクワク感もあります。
仕上がりはデザインした時のイメージと大きく変わっていることもありますが、イメージ以上のものが出来ることもあるので、それが醍醐味でもあります。
もっと効率よく作業できないかも含めて、思わず「わぁ」と笑顔になれる作品を作り、共感していただけるよう日々研究しています。
制作にご興味のある方は、素材販売もしていますので、是非、オリジナル作品にチャレンジしてみてください。
「世界にひとつだけのアート作品」が出来る達成感と満足感がきっと味わえると思います!
オーダー制作承ります。お問合わせください。